【インドネシアでの個人確定申告】

海外駐在によりインドネシアで個人確定申告を行う際、「日本の所得をどこまで申告すべきか」 悩まれるケースは少なくありません。

本記事では、日本の年金収入に関するインドネシアでの申告について、分かりやすく整理していきます。


【目次】

  1. ご質問(ケース別)
    • 1) ケース1:日本の年金は申告が必要?
    • 2) ケース2:日本で課税済みだが、二重課税になる?
  2. ポイント整理
    • 1) 年金の課税権について
    • 2) 二重課税にならない為に
    • 3)必要な手続きについて
  3. 最後に

1.ご質問(ケース別)

ケース1.

インドネシア居住者となった場合、インドネシアで日本の年金の申告は必要でしょうか?

👉 結論:必要です。

インドネシアにおいて税務上居住者となる場合、原則として全世界所得課税が適用されるため、日本で受給している年金も申告対象となり、インドネシアにおいて課税対象となります。

対象となる年金には、老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業型確定拠出年金(DC)や確定給付年金(DB)、 個人年金等が含まれます。


ケース2.

日本で20.42%の源泉徴収がされている場合、二重課税にならないのでしょうか?
👉 結論:日イ租税条約を適用すれば、日本における課税は免除できます。(届出要)

税務上、日本において非居住者となる場合、年金には原則として約20.42%(所得税+復興税)の源泉徴収が行われ、日本では原則として確定申告は不要とされています。

ただし、日本とインドネシアの間には日イ租税条約が締結されており、条約を適用することで、日本における課税の免除を受けることが可能です。

一方で、条約の適用手続を行っていない場合には、日本とインドネシアの双方で課税が行われ、二重課税が生じる可能性があります。


【2.ポイント整理】

1) 年金の課税権について

課税権とは、「どの国が税金を課すことができるか」という考え方です。

日本の年金を受給している海外居住者の場合、どの国に課税権があるかは、各国の税法および租税条約によって規定されています。 日イ租税条約による規定は下記のとおりです。

●公的年金・民間年金(原則)
一般企業に基づく年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金等)については、条約上、原則として居住国であるインドネシアに課税権があります。また、企業型確定拠出年金(DC)や確定給付年金(DB)、個人年金についても、基本的には同様の取扱いとなります。

●公務員年金(例外)
一方で、公務員としての勤務に基づく年金については、原則として支払国である日本に課税権があります。そのため、日本で課税され、インドネシアでは原則として課税されません。

ただし、受給者がインドネシアの居住者であり、かつインドネシア国籍を有する場合には、例外的にインドネシアに課税権が認められる点には注意が必要です。


2) 二重課税にならない為に

●二重課税を防ぐためには
日イ租税条約の適用を受けるためには、日本側で所定の届出を行う必要があります。

注意したいのは、この手続を行っていない場合には、本来免除対象であっても日本の年金に対して課税が行われてしまう点です。

※原則として日本での課税は免除となりますが、居住地判定の時期、給付形態(年金/一時金)、条約適用手続の状況等により、実務上、一時的または部分的に課税が生じる(=軽減にとどまる)ケースがあります。

●二重課税が生じた場合
日本とインドネシア双方で課税が行われた場合には、インドネシアにおいて外国税額控除の適用が可能です。

ただし、条約により本来日本で課税されない所得について日本で課税が行われた場合には、外国税額控除ではなく、日本において還付請求等により対応する必要があります。

一方で、日本での課税が軽減されている場合には、実際に課税された部分について一定の限度内で外国税額控除を適用することが可能です。


3) 必要な手続きについて

主な手続きは以下のとおりです。(公的年金の場合)

1. 日本での手続き(出国前)

日本年金機構に下記の届け出を提出

1)「外国居住年金受給権者住所・受取金融機関登録変更届」注1
※年金の支給管理のため、現況届が海外住所宛に送付されます。
2)「租税条約に関する届出書(様式9)」注2
公的年金以外については、各金融機関へ個別に確認が必要です。

2.インドネシアでの手続き

個人所得税確定申告書の提出 (翌年3月末まで)

【申告時の必要書類(証憑)】

  • 年金受給明細(受給日・金額が確認できるもの)
  • 年金の源泉徴収票または支払調書

【3.最後に】

近年、インドネシアにおける個人確定申告については、税務当局による確認が従来よりも厳格化している傾向が見られます。特に、海外で得た給与以外の所得(例:不動産売却益、賃貸収入、年金等)が適切に開示されていない場合、追徴課税や罰則が課されるケースも、まれではありますが発生しています。そのため、適切な申告対応を行うことが、これまで以上に重要となっています。
個人確定申告についてご不明な点やご不安な点がございましたら、お気軽に弊社へご相談ください。


👇日本年金機構の詳細については、以下をご参照ください。

日本年金機構(年金を受けている方が、海外に居住するとき)

注1 外国居住年金受給権者住所 受取り金融機関 登録変更届
注2 租税条約に関する届出書(様式9)