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今回は、かなり会計に踏み込んだお話です。

会計上、費用と収益を認識するための概念として、発生主義、現金主義、実現主義の3つがあります。 実際の金銭の入出金に基づいて費用と収益を認識する考え方は 「現金主義」 、金銭のやり取りとは無関係に、取引が発生した事実に基づいて費用と収益を認識する考え方は 「発生主義」 といいます。

現金主義で作成した財務諸表は、売上や費用を含むすべての取引を、実際に金銭が動いた時点で計上するため見て分かりやすい反面、一定の期間ごとの正確な損益を把握することが困難です。 現金の出納を記録しているので、どちらかというと家計簿の感覚に近いかもしれません。 現金主義による財務諸表では、本来は収益があるにも関わらず、財務諸表上は赤字になってしまう可能性もあります。 例えば、4月に機械の修繕サービスを提供して請求書も発行したのに、顧客からの入金がないからといって売上を認識しなかったとします。 一方、修繕サービスを提供するために必要な交換用の部品代や客先への交通費は4月中に支払ったので、これは費用として認識します。 結果、財務諸表上、4月期は赤字となってしまいます。 このような問題を補うために生み出されたのが発生主義なのです。

発生主義とは、金銭のやり取りの有無に関係なく、取引が発生した時点で収益と費用を認識(計上)する方法です。 売上等による収益や費用等の支出について、金額が確定した時点(確定した時点は、請求書発行日、物販の入出庫日、サービス提供日等、会社によって異なって問題ありません)で認識します。 そのため、取引が確定していれば、金銭のやり取りがなくても、「売上/売掛・未収金」や「費用/買掛・未払金」等を認識することになります。 この考え方によって、毎月ではなく数カ月に一度の精算となりがちなリース料やレンタル料、水道光熱費等も、毎月の会計に均等に配分して計上することができるため、正確な損益計算が可能となるのです。 固定資産の取得原価を耐用年数に応じて配分する減価償却費も、発生主義の考えに則したものです。

しかし発生主義にも収益を多く認識してしまう(もしくは、することができる)という難点があります。 そのため、収益については実際に実現したものだけを収益として確定するという 「実現主義」 という概念が生まれました。 実現主義とは、実際に代金やその他の等価物を得た時点で収益を認識するという考え方です。 つまり、販売したものに対する貨幣的裏付けのある対価を確かに受け取った、という事実に基づいて収益を認識するため、確実性のある収益のみを認識することになり、発生主義の難点を補うことができるのです。

インドネシアの会計基準はグローバル基準であるIFRSに則しているため、費用は「発生主義」、収益は「実現主義」で認識するのが原則となっています。 つまり、当期の取引は当期で認識(発生主義)し、収益については、当期の取引のうち実現した分のみを認識する(実現主義)ということになります。 しかしながら、これでは費用と収益の認識基準が異なってしまい会計の原則に反してしまうので、この差異を「費用収益対応の原則」という考え方で調整します。 これは、ある会計期間に発生した費用のうち、その会計期間の収益獲得に貢献した分だけを、その期の費用として認識するというものです。 つまり、獲得した(=確定した)収益を生み出すために要した費用のみを認識できる、とした考え方です。 この概念の基、1会計年度で完了しないような長期にわたるプロジェクトの場合、各年度末時点において、実現主義に基づいて確定した収益と、それを得るために要した費用のみが認識できることになります。 逆にいえば、実現主義に基づいた収益の確定が困難な場合、収益も費用も認識することができないということになるのです。