インドネシア生活

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ラマダン(断食)とレバラン(断食明け休暇)について - その2

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ラマダンの最後の十日間は、なかでも特別に大事な期間で、この十日間のうちの “ある一夜” は「ライラトル・カドル (Lailatul Qodar)」と呼ばれ、この夜にお祈りをすると千月の祈りに匹敵するのだそうです。日本で言う、一粒万倍日? ちょっと違うか…。この “ある一夜” がいつなのかは判らないのですが、時間帯は日没から日の出の間の残り三分の一の間ということは明らかで、なので、最後の十日間は眠くても早めに起きて、お祈りをします。敬虔な信者の方は、この十日間、礼拝所に籠ることもあるのだそうです。

断食開始から約30日後、断食が明けた翌日は イドゥル・フィトル(Idul Fitri)と呼ばれる祝日です。この日の朝、信者の方々は新調した晴れ着を着て礼拝所に行き、お祈りを捧げ、その後は、家族縁者、友人等と集って食事を楽しみます。道で出会ったご近所同士でイドゥル・フィトルの挨拶をしたり、遠くに住む縁者や友人には、電話で挨拶をしたり、日本のお年賀に似てますね。

実はコーランでは、ラマダンを行った翌月にも、断食をすることが奨励されているのだそうです。ラマダンの翌月を 「シャウワール(Shawwal)」 と呼ぶのですが、この月の間に六日間の断食をすると、ラマダンの断食と併せて、一年分の断食をすることになるんだとか…。

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日本の知人などに、「ラマダンのときは、一緒に断食をするの?」と聞かれることがあります。しないです(というか、お腹空いちゃいます)。でも、断食をしているスタッフには配慮しますよ。いま勤めている会社の就業時間は 8:00 ~ 17:00で、12:00 ~ 13:00は昼食時間ですが、ラマダン中は、宗教に関わらず全スタッフに対し、昼休みを30分減らし、就業時間を16:30にしています。 また、ラマダン中、一回は社長を交えてスタッフ全員で断食明けの食事を一緒にとります。 それ以外は、特別なことはしてません。イスラム教のスタッフが気にしないと言ってくれるので、昼食をデスクでとることもあります。

気をつけなくてはいけないのは、お抱えのドライバー、朝4時前に起きているわけですから寝不足です。そのうえ、空腹で注意散漫になっていますから、普段よりも時間の余裕をもって移動して、あまりスピードをださせない、運転させる時間もできるだけ短くする等の配慮をして、事故が起きないように注意しないといけません。 実際、この時期、タクシーの運転手はよく居眠りします。信号で停車した時とか、あれっ止まったまんまだな、って時は、たいてい寝ています。けっこうコワいです。 あと、夕方に走行中の場合は、お抱えのドライバーでもタクシーの運転手でも、6時近くなったらラジオをつけても良しとして(日没のお祈りが流れます)、お祈りが聞こえて来たら水や飴等を口にしてもらうようにしましょう。

レバランで忘れてはならないのが、THR(レバラン手当)と呼ばれる賞与の支給です。THRは労働法で義務付けられていて、レバランが始まる一週間前までに全ての従業員(どの宗教かに関わらず)に支給しなければなりません。勤続一年以上であれば固定給一ヶ月分、 勤続一ヶ月~一年未満の場合は、勤続期間に応じて金額を算出の上、支給します。 支給の遅延があった場合は、(給与の支給遅延と同様に)5%の罰則金が発生しますので、ご注意ください。
また、この時期、会社間や個人でもパルセル(Parcel)をお互いに送り合います。 日本でいうお中元やお歳暮みたいなものですね。果物やクッキーの詰め合わせ等が多いようです。

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ラマダンの恒例といえば…。 犯罪が増えます。 えーだって、神聖な月なのに、なんでっ?って思う方もいらっしゃると思いますが、よーく前述の説明を読んでいただくと分かります。ラマダンに断食すれば、罪が許されることになっているので(たぶん経典の拡大解釈なんだと思いますけど)、フトドキ者たちは、この時期に悪事を働いて、でも断食をすることでチャラってことにして、小金を貯めます。 実際、帰郷したりで、いろいろと入用なんでしょうけど、とは言ってもねぇ。あと、喜捨のお願いが来ます。よく判らない団体が会社に訪問して来たりして、寄付をお願いされるんですが、本当に必要とされているところに届いているのかどうかは眉唾ものですね。

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